Terroage Fukushima テロワージュふくしま

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    (Japanese) 川俣シャモで食通を魅了する若手料理人。
    見据える夢は「焼鳥文化を須賀川から世界へ」。

    • (Japanese) [和食]焼鳥 よし田
    • Naka-dori・須賀川市

    (Japanese) 2019年8月オープン。肉は川俣シャモだけを使い「焼鳥」にこだわる。

    (Japanese) 須賀川市の中心部を東西に貫く釈迦堂川。ゴールデンウィークには川をまたいでたくさんの鯉のぼりが泳ぎ、夏には40年以上の歴史を誇る県内最大規模の「釈迦堂川花火大会」が夜空を彩ります。さらに春には堤防沿い2kmにわたって桜が咲き誇るなど、季節ごとに多くの人々の目を楽しませてくれる、市民、県民憩いの川です。

    その釈迦堂川からほど近い場所にある「焼鳥 よし田」。2019年8月にオープンしました。コの字型のカウンターに9席、座敷が10席のお店です。店主の吉田雅樹さんは市内長沼町の出身。生まれ育った故郷であり、料理の道のスタートを切った町でもある須賀川から、焼鳥文化を世界に発信したい――そんな想いを胸に、この地に自らの店を開きました。

    (Japanese) 吉田さんが最初に料理の世界に足を踏み入れたのは、まだ高校時代のこと。須賀川の街なかにある焼き鳥店でアルバイトを始めたことがきっかけでした。

    「料理人になりたかったわけでも、飲食業に興味があったわけでもないんです。ただ単純にお金を稼ぎたくてバイトを始めて、そのまま就職して。でも、続けていくうちにだんだんその奥深さに気づくようになりました。

    焼鳥って、ものすごくシンプルですよね。焼いて、タレか塩で味付けをする。それだけといえばそれだけの料理ですが、だからこそ、店ごとのこだわりが味に出ます。まず、炭で焼くのかガスで焼くのかに始まって、炭ならどこのどういう炭を使うのか。塩やタレはどんな味なのか、そしてもちろん、鶏はどこの鶏を使うのか。シンプルなものほど奥が深いということを知って、そこから料理のおもしろさにハマっていったんです。」

    自分の店を持つことを意識したのは24歳の時。その時すでに「やるなら焼鳥の店」と決めていたと言います。しかし、焼鳥にこだわるからこそ、そのベースとなる料理の知識と経験を身につける必要があると考え、郡山の日本料理店で5年間修業。料理を基本から学び直し、満を持してこの店を構えました。

    焼鳥店は全国に数多ありますが、一般的に「焼鳥」を漢字で書かれた店は鳥専門、「やきとり」とひらがなで書かれた店は豚や牛の肉も提供する店とされています。吉田さんの店に掲げられるのは「焼鳥」の文字。焼鳥屋としてやっていく吉田さんの決意は、店名にも込められています。

    My
    Terroir

    (Japanese) 「焼鳥でこそ旨味が活きる」と吉田さんが語る川俣シャモ

    (Japanese) 焼鳥店の要となるのは、当然ながら鶏肉です。県を代表する銘柄鶏といえば、伊達鶏、会津地鶏、そして川俣シャモが「福島三大地鶏」と呼ばれ有名ですが、福島でやるからには福島の食材で勝負したいと考えた吉田さんがその中から選んだのは、川俣シャモでした。

    「伊達鶏は東京の有名店でも使われていることが多いので、あえて自分が使わなくてもいいかなと思いましたし、会津地鶏は焼鳥よりも洋食に使ったほうがおいしいのではないかと感じました。

    一方、旨味が強い川俣シャモは焼鳥でこそ抜群に活きると感じましたし、生産者の方も震災後に非常に頑張っていらっしゃる。この鶏なら福島で焼鳥にこだわる自分のスタイルを充分にアピールできるだろうと思いました。」

    料理はコースで提供され、先付2~3品のあとに串が7本ほど。そして、〆に親子丼が提供されます。

    My
    Mariage

    (Japanese) 左から胸、砂肝、かしわ、しいたけ、ぼんじり。温かいうちに食べてもらえるようにと、普段は一本ずつ順を追って提供される。

    (Japanese) よし田で提供される焼鳥の塩は、海塩と岩塩のブレンド。塩味の強い海塩にミネラルを多く含んだ南米の岩塩を混ぜることで、鶏の旨味を消すことなく、まろやかな味わいを楽しめます。一方のタレはワイン仕立て。上品な甘さの中にほのかに漂う酸味が食欲をそそります。

    合わせるお酒は、天栄村 松崎酒造の「廣戸川 特別純米」。天栄は釈迦堂川の上流に位置する村。吉田さんの実家からも近い、まさに地元の酒です。この廣戸川のチョイスにも、吉田さんのこだわりが表れています。

    「県産を中心にいくつかの日本酒を置いていますが、メインの日本酒はあくまで廣戸川。うちに来たらこれを飲んでくださいという看板酒です。実は、やわらぎ水も、焼酎の水割りに使う水も、そして料理で使う水も、うちではすべて廣戸川の仕込み水を使わせてもらっています。一番近い酒蔵ということもありますし、地元の蔵が今では東京でも知られるようになるぐらい頑張っているのを見ると、僕も負けてはいられない、一緒に頑張らなければと思うんです。」

    Terroage
    Menu
    • (Japanese) 川俣シャモを使った親子丼。品良く味付けされた半熟の卵が川俣シャモの旨味と絡み合う。

    • (Japanese) よし田の看板酒「廣戸川」。季節ごとの貴重な限定酒も味わえる。

    • (Japanese) 須賀川の中心部からやや離れた静かな一角に店はある。その落ち着いた佇まいも魅力。

    (Japanese) 川俣シャモはもちろん、店で提供する野菜に対しても県産品への強い愛情を口にする吉田さん。冬場には、地元須賀川 設楽農園のネギを使った串を提供。そのネギ串を目当てに遠方からくるお客さんもいると言います。

    「街は何で盛り上がるかって、やっぱり食だと思うんです。正直なことを言えば、以前は東京でチャレンジしたいという気持ちもありました。でも震災の後、福島に対するものすごい向かい風の中、それに負けないぐらいのパワーで農家さん達が頑張ったじゃないですか。そういうのを見てきたので、自分も福島の農家さんのために何かしたい、しなければいけないと思うようになりました。

    農家さん自身はその頑張りを目に見える形でアピールする場所が少ないですが、僕たち料理人がお店でお客さんに対してアピールをすれば、その魅力がどんどん広がって、街も元気になるに違いない。それも飲食店の一つの役割だと思うようになったんです。」

    鶏料理しか出さない店を須賀川で開いて果たして通用するのか。最初はそんな不安もあったと言いますが、須賀川市内はもちろん、福島県内、さらにはSNSで店を知った県外の食通もわざわざ訪れるなど順調にファンが増え、今、「自分は間違っていなかった」と少しずつ自信を深めていると言います。

    「自分の店を出したことは、自分にとってはまだスタートライン。お客様が、イタリアンならあの店、和食ならここ、と贔屓の店をお選びになる時に、“焼鳥なら須賀川のよし田だよね”と言っていただけるようになるのが一つの目標です。そのためには、他の焼鳥屋さんよりずば抜けておいしくなければいけないと思いますし、焼鳥文化をどんどん世界に発信して、“焼鳥を世界に広めたよし田の焼鳥を食べに須賀川へ行こう”と言ってもらえる存在になりたいです。

    そうすれば、川俣シャモも須賀川の野菜も廣戸川も自然と注目されて、みなさんが福島で頑張ってきたことがもっと報われると思う。それが最終目標ですね。」


    Data

    (Japanese) 焼鳥 よし田

    • Address:(Japanese) 福島県須賀川市岡東町109
    • Tel:(Japanese) 0248-94-7570
    • Open:(Japanese) 平日 17:00~23:00(ラストオーダー 22:00)/金・土・祝前日 17:00~24:00(ラストオーダー 23:00)
    • Closed:(Japanese) 日曜、祝日
    • Average Cost:(Japanese) 5,000円~