Terroage Fukushima テロワージュふくしま

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    (Japanese) 「ここには大地の恵みがある」
    裏磐梯のホテルで目指す“会津フレンチ”の創造

    • (Japanese) [フランス料理/宿泊施設]ホテリ・アアルト HOTELLI aalto
    • Aizu・北塩原村

    (Japanese) シェフが自ら足を運び目利きした食材の数々がテーブルを彩る。このディナーを目当てにリピートで訪れる宿泊客も多い。

    (Japanese) 季節や天気によってさまざまな色彩に変化し見る人を魅了する五色沼。その湖沼群を生んだ明治の大噴火の爪痕を残す磐梯山の荒々しくも雄大な山容。そして泉質が良く豊かな湧出量を誇る温泉。裏磐梯は、福島県の数ある観光地の中でもとりわけ大自然の力強さを感じる場所です。

    その裏磐梯の一角に、築40数年の保養所をリノベーションし2009年にオープンしたホテルがあります。名前は「ホテリ・アアルト」。ホテリは“ホテル”、アアルトは“波”を意味するフィンランド語です。裏磐梯と同じく大自然と共存する国、フィンランド。2つの土地、2つの心をつなぎ合わせたいという想いから、この名がつけられました。そのコンセプトの通り、ホテル内では使い心地が良く木のぬくもりを感じさせる北欧家具が多く使われ、非日常の贅沢なひとときを味わうことができます。

    そんなホテリ・アアルトのもう一つの魅力。それが、地元食材にこだわり抜いて提供される食事です。腕を振るうのは、河口泰久シェフ。オープン当初からホテリ・アアルトの厨房を守り、フレンチをベースに福島の食材の魅力を最大限に引き出した料理を提供し続けています。

    (Japanese) 語り口の端々にやや福島訛りも感じさせる河口シェフですが、出身は神奈川県横浜市。高校を卒業後、藤沢市のレストランや都内のホテルでフレンチを学びました。その後、郡山にあったグループホテルへ転籍となり、家族と共に移住。福島での生活は、すでに10数年となりました。

    ホテリ・アアルトがオープンしてしばらく経った頃のこと。河口さんには、お客様からいただいた忘れられない一言があるといいます。

    「とてもおいしいけれど…これだったら東京でも食べられるよね。」

    自分にとってかなりのカウンターパンチだったという河口さん。横浜に生まれ育ち東京のホテルで修業したそれまでの自分のやりかたを、ただそのまま福島に持ってきていただけだった。そのことを、お客様は見抜いていました。

    「福島の食材を使うだけの名ばかりの地産地消。間違ったお客様目線。自己満足な料理を作っていたのだと気づき、大いに反省しました。」

    その後、東日本大震災が発生。福島の観光産業は大きな打撃を受け、ホテルの宿泊客数も大きく落ち込みましたが、そのことが、自らの料理を見つめ直す時間を河口さんに与えました。会津を中心に県内各地の生産者、酒蔵などを巡り、そのこだわりや想いを直接聞きながら、福島で料理を作る意味を探し、本当の地産地消を自らの料理に取り込みました。

    今、ホテリ・アアルトのお客様は、その半分ほどがリピートのお客様だといいます。ホテルとしての魅力はもちろん、多くのお客様がたびたび足を運ぶのは、河口さんのそうした行動や想いが料理に表れ、お客様を惹きつけているからに違いありません。

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    Terroir

    (Japanese) 会津各地で穫れた地場野菜。裏磐梯で育った地場の野菜もある。

    (Japanese) 自らの足で訪ねて魅力を感じた数々の県産食材。その中でも河口さんが特に大切にしているのが、会津で穫れる野菜です。

    「フレンチは特にそうですが、我々料理人はどうしてもいろいろと食材に手を加えたくなるんです。いじりたくなる。でも、会津野菜の場合はほとんど手を加える必要がありません。素材の味だけでも充分においしく食べていただけるからです。

    例えば、裏磐梯の奥に早稲沢(わせざわ)という地区があって、そこでは秋にとうもろこしの旬を迎えるのですが、それが抜群の甘さなんです。スープにしてお客様に出すと“砂糖を使っているんですか?”と聞かれるぐらいに甘い。そうした素材そのものの味を知っていただくためにも、また生産者さんの声をそのままお客様に伝えるという意味でも、今はできる限り手を加えないように心がけています。」

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    (Japanese) 会津野菜のバーニャカウダ

    (Japanese) そんな会津野菜を、前菜としてバーニャカウダで提供します。会津の各地域から仕入れた季節ごとのさまざまな野菜が並びますが、中でも喜多方産のホワイトアスパラは、河口さんが神奈川での修行時代からその噂を聞いていたという名品。深いコクのある自家製のチーズをつけ、手づかみでいただきます。合わせるお酒は、磐梯町 榮川酒造の「榮川 純米酒」です。

    「お酒と料理はコンビネーションが大切です。どちらかが強いとどちらかが負けてしまいますから。」

    と河口さん。キレの良さとさっぱりしたのどごしが魅力の榮川なら、野菜そのものの味を酒が打ち消してしまうことはありません。

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    Menu
    • (Japanese) 大玉村産牛のサーロインステーキ

    • (Japanese) 西郷村産のメイプルサーモンと会津野菜をサラダ感覚で。都路村産の卵を使ったソースで味わう。

    • (Japanese) 河口泰久シェフ(中央)、支配人の渡辺和成さん(右)、河口シェフと共に厨房に立つ渡部長雄さん(左)

    (Japanese) 肉料理は、大玉村で育った牛のサーロインステーキ。裏磐梯産の枝豆で作ったソースと会津野菜を添えました。このサーロインと共に楽しみたいのは、郡山市 安積蒸留所のブレンデッドウイスキーで作ったハイボール。牛肉の脂を爽やかに流してくれます。今や国内だけでなく海外からも注目を集めるウイスキー「963」「山桜」で知られる安積蒸留所。その安積蒸留所でホテリ・アアルトのためにブレンドされたオリジナルのウイスキーです。

    食材以外にも、会津木綿のひざ掛けや会津本郷焼のランチョンプレートなどがダイニングを飾り、「地域や風土も合わせて福島を発信する」という想いが随所に散りばめられたホテリ・アアルト。このホテルとの出会いは自分にとって本当に大きかったと、河口さんはこの10余年を振り返ります。これからもここで、食を通して福島県外の人々に福島の良さを伝えていく。それが自らの務めだと語ります。

    「ここには大地の恵みがある。ありきたりな表現のようですが、今、心から納得してその言葉が使えるようになりました。少しずつ復興してきた浜通りの魚、中通りのフルーツ、磐梯山からの風を受けて育まれる米や野菜、肉、日本酒などが素晴らしい会津。本当に“ないものがない”県だと思います。

    そうした食材を丁寧に活かし、生産者のみなさんとの出会いを重ねながら、これからも目標高く“会津フレンチ”の創造を目指していきたいと思っています。」


    Data

    (Japanese) ホテリ・アアルト│HOTELLI aalto

    • Address:(Japanese) 福島県耶麻郡北塩原村大字檜原字大府平1073-153
    • Tel:(Japanese) 0241-23-5100
    • Open:(Japanese) 《お問合せ、ご予約受付時間》10時〜19時