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    萩 春朋シェフ スペシャル対談 ふくしまのテロワージュとは

    オーナーシェフを務める「HAGIフランス料理店」を生まれ故郷のいわき市に構え、フランス料理のエッセンスと福島の食材をマッチさせた独自のフレンチを創造する萩春朋シェフ。現地フランスでも実績を重ね、福島のみならず世界の人々を食でうならせてきた萩シェフは、「テロワージュ」という切り口をどう捉え、自らの料理に反映させてくれるのでしょうか。テロワージュふくしま事務局長の北村秀哉がその想いを聞きました。

    北村:ここで最初に料理をいただいた時、食べた瞬間に非常に正統なフランス料理の趣きを感じました。萩さんは実際にフランスでも学ばれたんですよね?

    萩:ありがとうございます。東京の辻調理専門学校で学んだあと、同校のフランス校料理学科で学び、帰国後の1998年に地元で自分の店を開きました。

    北村:2013年にはオランド元大統領にも食事を提供されたとか。

    萩:はい。大統領府であるエリゼ宮殿の厨房で調理をしました。その時の僕のミッションは、福島の食材を大統領に、しかも大統領の宮殿で食べていただくことだったわけですが、そもそもエリゼ宮殿は外国人が入れない場所で、厨房に入った外国人は僕が世界で初めてだったそうです。震災からまだ2年しか経っていない中、セキュリティの非常に厳しい場所で福島の食材を使った料理を食べてもらえたことで、福島の食材は安全だというお墨付きをもらえたような気持ちになりました。

    北村:萩さんは以前から、食材もお酒も福島のものにこだわって使っていらっしゃいますよね。

    萩:はい。地元いわきでとれた海のものもあれば、中通りの食材を使うことも、会津のお酒をお出しすることもあります。
    ただ、それは地産地消という意味合いだけで使っているのではありません。せっかく福島を訪ねてきてくださったお客様に地元のもとを食べていただくことで、「来てよかった、うれしい」と思っていただき、いずれは福島を第二の故郷と思ってもらえるような、そんな想いを込めて使っています。地のものを味わうことは旅行において最高の贅沢ですからね。

    北村:おっしゃる通りです。我々も「究極のおいしさは産地にあり」を一つのキーワードに掲げています。

    萩:お酒も同じですよね。ヨーロッパの風景の中で飲むヨーロッパのワインは本当においしい。でも、それと同じワインを日本で飲んで同じ感動を味わえるかというと、おいしいことには変わりないけれど、どこかが違う。それは、土地が違うからです。その違いを感じてもらうことが「テロワージュ」ということなのかなと思います。

    北村:テロワージュふくしまに期待することはどんなことでしょうか。

    萩:「お土産」という言葉は「土から産まれる」と書きますが、わざわざ遠くから来たのにその土地のものを食べられなかったとしたら、文字通り土産話にもなりません。だから我々福島の料理人は、福島のどこにおいしい食材があるか、いつ食べるのがおいしいのか、その目利きをしっかりとやり、料理人として再構築して、お酒を含めた福島ならではの食の機会を増やしていかなければいけないと思っています。
    テロワージュふくしまには、ぜひその現場を発信し、食という「お土産」が福島にあることを世界に広めてほしいと思っています。

    萩春朋さん
    エコール 辻 東京フランス・イタリア料理マスターカレッジ1996年卒。フランスや都内有名レストランで研鑽を積み、23歳の時にフレンチレストラン「ベルクール」をオープン。2011年、震災後の5月に現店名に改名。いつまでも記憶に残る本物だけの提供を理念に、昼夜1組のみのフランス料理店として話題を集める。2013年には福島代表としてフランス・パリにて開催された料理フェアに参加。宮殿にてオランド大統領やモナコ公国アルベール大公に料理をふるまう。2014年、農林水産省より「料理マスターズ2014」として顕彰。地元福島の生産者と密接につながりながら、食と食材の魅力を発信し続けている。

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