Terroage Fukushima テロワージュふくしま

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    会津の野菜そのものの味をシンプルに味わう店
    「生産者の想いを伝えるのが料理人の使命」

    • [鉄板焼き]Teppanyaki あいづ家
    • 会津・会津若松市

    フランス料理店から鉄板焼き店へ。「生産者の声を伝えたい」——その想いが店のスタイルまでも変えさせた。

    四方を山に囲まれ、古くから独自の食文化、農業文化が育まれてきた会津地方。「会津小菊南瓜(あいづこぎくかぼちゃ)」や「余蒔胡瓜(よまききゅうり)」など会津古来の伝統野菜は農業の近代化の流れに飲まれ生産量が激減しましたが、近年、復活に向けた取り組みが会津の生産者の間で続けられています。

    そうした味わい豊かな会津の野菜とそれを作る生産者の声を、料理を通して多くの人に伝えたい。その想いの実現に、自らの料理のスタイルを変えてまで挑むシェフが会津若松にいます。週末を中心に多くの観光客で賑わう七日町通り沿いに「Teppanyaki あいづ家」を構える佐藤学さん。コの字形のカウンターの中央で、地元野菜や福島牛を見事な手さばきで焼き上げます。

    佐藤さんは会津若松市内の出身。大学卒業後、全国からファンが訪れる会津下郷町湯野上のフレンチの名店「Chezやまのべ」の山野辺宏シェフのもとで修業しました。

    「一般的な料理人に比べるとスタートが3~4年遅いので、山野辺さんにはそれを埋めるための心構えや精神論を教えていただきました。また、地元の食材に対する手のかけかた、食材の声を聞くことの大切さを学びました。」

    その後、郡山やいわきのレストランやホテル、結婚式場などで約10年の経験を積み、2009年にフランス料理店としてこの店をオープン。コの字形のカウンターは、当然まだここにはありませんでした。

    My
    Terroir

    野菜はすべて会津産。シーズンには契約農家へ出向き種まきを手伝うこともある。

    自分でお店を開くのであれば会津の食材にこだわったお店にしようと決めていたという佐藤さん。しかし、いくら料理で地元食材に愛情をかけても、厨房にこもって食材に向き合うだけではお客様にその魅力を伝えられないのではないか。テーブル席だけの店で料理を作り続ける中で、徐々にそう思うようになったと言います。

    「生産者さんとのつながりが強くなり、その想いを知れば知るほど、皿の上だけで表現するには限界があると思うようになりました。料理に言葉を添えることで、生産者の想いはよりお客様に伝わるはず。そう思って今のスタイルへとお店を変えたんです。」

    現在お店で提供している野菜は、すべて会津の契約農家から仕入れているもの。今では会津若松市内はもちろん、坂下、喜多方、西会津、南会津など会津全域に生産者とのネットワークは広がっています。

    My
    Mariage

    会津産 季節の焼き野菜盛り合わせ

    コース料理の一つとしても提供される焼き野菜の盛り合わせ。その日その日の最もおいしい野菜たちを、塩とコショーだけの最低限の味付けで焼き上げます。この日盛り付けられたのは、人参、あさつき、かぶ、かぶの葉、スティックセニョール、大根、さつまいも。人参は2時間蒸し焼きに、さつまいもは一度焼き芋状にするなど、甘みを存分に引き出したうえで鉄板焼きにします。

    合わせるお酒のチョイスからも、野菜に向ける佐藤さんの愛情が感じられます。「野菜の味を殺さず引き立ててくれるやさしいお酒」と言って佐藤さんが合わせたのは、あいづ家と同じ七日町通り沿いに蔵を構える鶴の江酒造の「ゆり 純米吟醸」でした。

    Terroage
    Menu
    • 福島牛のあぶりユッケ

    • お客様の目の前で豪快に炙り焼きにするあいづ屋のスペシャリテ

    • 人気の店が多い七日町通りのほぼ中心に位置する

    A5ランクの福島牛だけを使った「福島牛のあぶりユッケ」。生の状態で皿に乗せた極上の福島牛を、お客様の目の前で、バーナーを使って片面だけ焼き上げます。卵の黄身を乗せてユッケのイメージで味付けした、福島牛本来の味わいを活かしたあいづ家のスペシャリテの一つです。合わせるお酒は、会津若松市 高橋庄作酒造店の「会津娘 純米吟醸酒 春泥」。野性味あふれる味わいが福島牛の脂の旨味と見事に溶け合い調和します。

    「鉄板焼きの店ですから鉄板で焼くのは当たり前ですが、せっかく素晴らしい福島牛を使わせていただいているので、味だけではなく見せ方も特別なものにしたいと思い、このスタイルで提供しています。やはり“おーっ”と声が上がりますね。焼く様子がみなさんから見えますので、カウンターの他のお客様から“うちにもそれを”とよく注文をいただきます(笑)。」

    現在のお店のスタイルになってから、佐藤さんとお客様の会話はもちろん、お客様同士の会話も増え、そこから地元の食材のおいしさに気づいていただく機会も増えたと言う佐藤さん。時間があれば自らも生産者のもとへ足を運び、種まきを手伝うこともあるそうです。店にはお客様に混じって契約農家のみなさんもよく食事にいらっしゃるとか。生産者と直接交流し、野菜や野菜作りにかける生の声を聞くチャンスがあることも、今やこの店の魅力の一つとなっています。

    「生産者の想いを伝えること。それは私たち料理人の使命の一つだと考えています。」

    そう語る佐藤さん。余分なものを取り払い、できる限りシンプルに味わっていただくことで、「野菜って本当においしいんだ」と感じてほしい。その想いを胸に、今日もカウンターの真ん中で、会津の野菜の魅力を発信し続けています。


    Data

    Teppanyaki あいづ家

    • 住所:福島県会津若松市七日町2-51
    • 電話:0242-29-0371
    • 時間:ランチ/11:30~14:00 ディナー/18:00~21:00
    • 定休日:月曜(月曜が祝祭日の場合は振替店休)
    • 平均予算:ランチ/2,000円~3,000円 ディナー/6,000円~7,000円