Terroage Fukushima テロワージュふくしま

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    眼前に広がる裏磐梯の大自然のもとで
    2人の料理長が織りなす和とフレンチの饗宴

    • [フランス料理/和食/宿泊施設]裏磐梯高原ホテル
    • 会津・北塩原村

    ホテルの前庭には五色沼湖沼群の一つ弥六沼が広がる。創業60余年、皇族もしばしば訪れた裏磐梯屈指の名ホテル。

    新緑を愛でる春、涼を求める夏、木々の色づきが鮮やかな秋、一面の雪景色がまぶしい冬。裏磐梯エリアは、四季折々の自然の美しさを味わうことができる福島県内有数の観光地です。

    磐梯朝日国立公園の中にある裏磐梯、その標高約800mの高原にレッドシダーウッドシングル貼りのシックな外観が木立に映える一軒のホテルがあります。裏磐梯高原ホテル。1958年の創業から60余年、昭和天皇・皇后両陛下以来、歴代の天皇皇后両陛下や皇族の方々がたびたび宿泊された由緒ある高級リゾートホテルです。客室の目の前には五色沼湖沼群の一つ、弥六沼が水を湛え、その向こうには磐梯山が荒々しくも美しい姿を見せています。

    このホテルにおいて、魅力的なロケーションと並び大きな魅力となっているのが、会津の食材をふんだんに盛り込んだ料理の数々。フレンチの佐藤真さんと和食の後藤慎也さんの2人の料理長が、それぞれの経験と感性を活かしながら、お客様の特別な時間を食で彩っています。

    佐藤料理長は喜多方市、後藤料理長はホテルがある北塩原村と、共に会津地方の出身。佐藤料理長は高校時代に地元の温泉旅館で調理のアルバイトを経験したことから料理の道を志し、県内外のホテル等で経験を重ねた後、20年ほど前にこのホテルへとやってきました。

    一方の後藤料理長も、これまで県内の旅館やリゾートホテルで多くの経験を重ねてきました。ここで腕を振るい始めたのは2016年からですが、ご両親はかつてこの裏磐梯で旅館を経営しており、その姿を見るうちに自然と料理人への憧れを抱くようになったと言います。「誰よりもこの地を愛している」と自負する、まさに地元の料理人です。

    My
    Terroir

    (左)会津郷土料理尽くしの和の小鉢3品 (右)カワハギのマリネ 裏磐梯産夏苺・コアのバルサミコマリネとオータムトリュフ 苺ヴィネグレットのボンボン

    まずいただくのは、やはり会津ならではの和の小鉢から。いか人参、にしんの山椒漬け、棒たらの3品は、いずれも会津の郷土料理として広く知られています。また、これも会津を代表する料理として知られる「こづゆ」を提供することもあるそうです。

    「地元の料理をそのままお出しするのではなく、にしんの山椒漬けは菊と和えたり、棒たらは唐揚げにしたりするなど、私なりに少し手を加えるようにしています。郷土料理の文化は決して壊すことなくベースとして残しながら、ホテルという特別な空間で福島の季節を感じていただくための工夫を忘れないようにしています。」

    一方の佐藤料理長が用意してくれたのは、カワハギのマリネ。カワハギと裏磐梯産の夏苺「コア」をバルサミコでマリネし、そのコアを使ったドレッシングで味付けしました。料理の技術を磨く一環でカラーコーディネートを学んだという佐藤料理長のセンスが光る、目にも鮮やかな一品です。

    「酸味が強く花のような香りが魅力の夏苺は裏磐梯で盛んに栽培されていますが、この特徴ある苺をただの珍しさだけで終わらせてしまうのはもったいない。どう料理に活かすべきか試行錯誤を重ねて生まれた前菜です。香りを逃さないよう球状の器を使い、赤と黒のカラースキームをベースにフルーティーでフローラルなイメージを視覚的にも追求しました。五色沼という人気スポットがある土地でフレンチを提供する以上、色へのこだわりは欠かせないと思っています。」

    My
    Mariage

    会津の食材をふんだんに使い秋らしく盛り付けられた八寸。

    続いて後藤料理長が腕を振るったのは、秋らしく飾られた八寸。栗のせんべい、ブロッコリーのふくさ焼き、磐梯町産ほうれん草の卵焼き、麓山高原豚の塩麹焼き、馬肉の筋煮込み、身不知柿の白和え。メイプルサーモンとアボカドといくらの和え物、むかご、菊の天ぷら、松茸の上に乗せられた会津地鶏の胸肉と、こちらも地元食材をふんだんに盛り込みました。

    「季節感を強調しながら色鮮やかに食の魅力を表現できる八寸は、料理人のきめ細かい技術と心が強く込もったものです。私も、できる限り地元のものを取り入れることでこの地の雰囲気や食の豊かさを感じていただきたいという想いをこの一皿に込めています。」

    この八寸に合わせる酒は、会津若松市 宮泉銘醸の「寫楽 純米吟醸」です。フレッシュさとキレ、口当たりの柔らかさ、滑らかな喉ごしといった日本酒の魅力がバランス良く感じられる人気の酒。さまざまな味を楽しむことができる八寸にぴったりの一本です。

    「震災後の一時期に比べれば、会津の食材が全国へ流通される機会も増えたと思います。しかし、ここでしか食べられない食材や郷土料理もたくさんありますし、その地域の食文化を知る料理人にしか出せない味もあると私は考えます。地元の料理人が、地元の食材を使い、地元で料理し提供する。それこそが最高のおもてなしだと思うのです。」

    Terroage
    Menu
    • 甘鯛のポワレ 喜多方産まこもだけのキャラメリゼ 濃厚な魚介と会津コシヒカリのソース

    • カラーコーディネートの知識を応用しつつ地元食材を活かしたシンプルな料理を追求するフレンチの佐藤真料理長。

    • 生まれも育ちも裏磐梯。「誰よりもこの土地を愛している」と語る和の後藤慎也料理長。

    • ホテルの目の前には裏磐梯の大自然が広がる。

    佐藤料理長にお作りいただいたのは、甘鯛のポワレ。その下には濃厚な魚介と会津コシヒカリのソースを水の流れのように美しく引き、かたわらにはワイルドライスのサラダと喜多方産まこもだけのキャラメリゼが添えられました。甘鯛の鱗のカリッとした仕上がり、身の柔らかさ、もっちりとしたワイルドライスやまこもだけと、食感のコントラストも楽しい一皿。会津若松市 末廣酒造の「大吟醸 玄宰(げんさい)」と合わせます。

    「先代の料理長が作っていた米のソースの味わいに感銘を受け、私もソースに米を使うようになりました。小麦粉などと違い米特有の甘さが加味されてマイルドな仕上がりになります。ご高齢のお客様や脂っこい料理が苦手の方のために、主に魚料理に応用しています。

    仕事を通して出会った神戸北野ホテルの山口浩総支配人・総料理長の存在も、そうした体にやさしい料理を作る大きなきっかけとなりました。バターや生クリームを極力使わない「水のフレンチ」の代表格である山口さんの料理に、また料理と向き合う真摯で妥協のない姿勢に少しでも近づきたいと思い、日々努力しています。」

    佐藤料理長は、音楽や絵画などアートからもアイディアを得ながら自らの料理の質を高める努力をしていると言います。

    「料理は音楽のようなものだと思います。音楽には、たった3つのコードから作られているのに多くの人の心を打つ名曲もあれば、複雑なコード展開で聴く人をうならせる曲もある。料理もこれと一緒だと思うんです。

    どちらが良いというものではないと思いますが、私の料理は前者のようでありたい。若い頃は技術に走った時期もありましたが、この地を訪ねるお客様が何を求めているのかを考えるようになってから、探せばすぐそこに素晴らしい食材があるということ気づき、技術よりも地元の食材を活かすことを第一に考えた料理を作るようになりました。

    今や地産地消はどの土地でも当たり前の取り組みとなっていますが、私はそこに懐かしさのような感覚を取り入れつつ、美意識を大事にしながら、ただの創作フレンチではない、人間の感覚すべてに訴えかけるような料理を提供したいと思っています。」

    料理人としてのルーツはまったく違う2人の料理長。しかし、会津の、そして福島の食に対する想いは同じ。その2人が生み出す絶妙な食のコントラストは今、歴史ある高原のホテルにおいて裏磐梯の絶景にも劣らない大きな魅力となって、訪れる人々を魅了しています。


    Data

    裏磐梯高原ホテル

    • 住所:福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字湯平山1171
    • 電話:0241-32-2211
    • 時間:《ご予約、お問合せ受付時間》8時〜20時